今日読んだ本、古典中の古典ブリア・サヴァランの『美味礼讃』(初版1826年)。これは「哲学書」ですぞ。人生についてのあらゆる知恵が入っている。もちろん食に関しても。でも「肥満対策」について書いてあったとは、知らなかったな〜。これはニッポンの偏った「食育」文化では無視されていた記述。読むべし。
この本:
この中の「黙想二十一 肥満について 肥満症の原因」から抜粋:
すごく簡潔にして明確。まさにアトキンス博士の処方箋通りではないか。「肉と脂肪と野菜は制限しない。制限するものは、糖質と炭水化物である」というアトキンスなどのローカーボ・ダイエットは、ニッポンの「食育」先生と、「国民はすべからくコメを食え!」といいと言う自分の商売繁昌しか考えない農村利権団体から、両ばさみの総攻撃を受けているが、19世紀初頭ナポレオン戦争直後のサヴァラン先生が処方している「由緒正しい」ダイエット法なのであった。19世紀のフランス教養主義は、さすがである。
サヴァランは日本では値段に糸目を付けずに食に拘る「美味しん坊先生」という風に解釈されているが、この本を読めばそうでもないことが分かる。「食事とは、あくまでもコミュニケーションの手段である」と明確に書いてあるのだ。ローマ人のような暴飲暴食は下品であるとも書いている。高い食材ばかりに拘るのではなく、年収5000フラン(500万円)クラスの中流階級と年収3万フラン(三千万円)クラスの富裕階級で、それぞれのそれなりの「美味礼讃」があると、具体的にメニューまで書いて説明している。
「おいし〜!」連発ばかりがグルメではない。グルマンディーの原点はこの本にある。一読おすすめ。
美味礼讃 (上) ブリア‐サヴァラン 関根 秀雄 戸部 松実
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美味礼讃 (下) ブリア‐サヴァラン 関根 秀雄 戸部 松実
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この中の「黙想二十一 肥満について 肥満症の原因」から抜粋:
- 肥満の原因の第一は、生まれつきの素質による。
- 肥満症の第二の原因は、澱粉質にある。澱粉は砂糖とともに用いられると、一層迅速にその効果を現す。澱粉は、ビールやそれに類する飲料によって流し込まれても、やはり肥満を来すことにかわりはない。終始ビールなどを飲む国民の間にも、やはり素晴らしい太鼓腹が見いだされる。
- 睡眠の延長と運動不足とは、互いに持ちつもたれつして肥満症の一つの原因となる。
- 肥満症の最後の原因は、食べ過ぎ飲み過ぎである。
すごく簡潔にして明確。まさにアトキンス博士の処方箋通りではないか。「肉と脂肪と野菜は制限しない。制限するものは、糖質と炭水化物である」というアトキンスなどのローカーボ・ダイエットは、ニッポンの「食育」先生と、「国民はすべからくコメを食え!」といいと言う自分の商売繁昌しか考えない農村利権団体から、両ばさみの総攻撃を受けているが、19世紀初頭ナポレオン戦争直後のサヴァラン先生が処方している「由緒正しい」ダイエット法なのであった。19世紀のフランス教養主義は、さすがである。
サヴァランは日本では値段に糸目を付けずに食に拘る「美味しん坊先生」という風に解釈されているが、この本を読めばそうでもないことが分かる。「食事とは、あくまでもコミュニケーションの手段である」と明確に書いてあるのだ。ローマ人のような暴飲暴食は下品であるとも書いている。高い食材ばかりに拘るのではなく、年収5000フラン(500万円)クラスの中流階級と年収3万フラン(三千万円)クラスの富裕階級で、それぞれのそれなりの「美味礼讃」があると、具体的にメニューまで書いて説明している。
「おいし〜!」連発ばかりがグルメではない。グルマンディーの原点はこの本にある。一読おすすめ。